UP 2008.8.26 HRY
| 世界遺産 高野山千年の森を訪ねる |
■日時:2008.8.22(金)
■出発:大阪駅ダイビル前 8:20 日交バス
■行先:高野山 奥の院、苗畑森林、金剛峯寺
■ガイド:高野「めざめの森づくり」実行委員会
金剛峯寺山林課長、森林インストラクター、事務局員
■参加:シニア自然大学 環境科36名
タイムスケジュール
(1)往路:大阪駅0820〜(阪和道)〜泉南IC〜(R24)〜道の駅紀ノ川万葉の里(0945〜1000)〜(R480)〜高野山 中の橋1050
(2)観察1:中の橋1055〜(参道)〜奥の院御廟1150〜林道1205〜三本杉1220〜苗畑小屋(1235〜昼〜1300)〜森林浴(1305〜1335)
(3)観察2:苗畑小屋1340〜自然観察〜一本杉1425〜(マイクロバス)〜金剛峯寺見学(1430〜1540)〜物産館(1555〜1610)
(4)帰路:金剛峯寺1615〜(R480、R370)〜ドライブイン(1700〜1710)〜南海九度山駅〜橋本〜京奈和道〜南阪奈道〜大阪駅1840
![]() 高野山奥の院参道 |
―はじめに―
高野山は816年、真言密教の奥義を授かった僧空海が、この地に金剛峯寺を創建したことに始まる。真言宗の総本山です。2004年、「紀伊山地の霊場と参詣道」として日本で12番目に世界文化遺産に登録されました。
今回は、高野「めざめの森」づくり実行委員会のお世話で、一般観光客の立ち入れない高野千年の森の自然体験や金剛峰寺を案内いただきました。
その特色は次のようなものです。
1.金剛峰寺の案内と僧分による法話「弘法大師の自然観と高野山の創設について」
2.森林セラピー弁当
3.森林インストラクターによる奥の院散策と高野山の自然観察
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1.車中研修
![]() 世界遺産の研修資料(石橋さん) |
![]() 約2時間30分の車中 |
2時間半の車中は長い。世界遺産検定の資格を持つ環境科石橋さんから、世界と日本の世界遺産についてや、これから訪ねる高野山についての事前研修を受ける。
世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の中で高野山は、金剛峯寺の建造物と景観および山麓の寺社と山上を結ぶ高野山町石道が遺産に登録されている。参詣道が世界遺産に登録されているのは世界遺産878個所のなかでスペインの巡礼街道とここだけという。また文化的景観を形成している独特の思想は神仏習合であるなど、その選定となった経緯などを学習する。(配付資料参照)。
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2.奥の院参道(中の橋から大師御廟)
![]() 森林インストラクター2名が案内につく |
![]() 中の橋参道 |
![]() 参道には大手企業の慰霊碑が並ぶ(日産) |
バスは高野山町に入り、奥の院「中の橋」で下車します。平地でも数日前から朝晩涼しさを覚えるようになりましたが、標高800mの高野山の最低気温はもう14℃。さすがにひんやりとします。中の橋で、高野めざめの森づくり実行委員会のガイド氏と事務局員の出迎えを受ける。
軽いストレッチングの後、森林インストラクター西岡さん(A班)、茶原さん(B班)のグループに分かれ、それぞれガイドを受けながら参道を進む。参道には有名人のお墓が続きますが、仏前には供花にかわり高野まきがお供えしてあります。親鸞、法然のお墓もありますが宗派を問わないということ、また大手企業の慰霊碑も目立ちます。
![]() ここから奥の院参道 |
![]() 特別母樹林 |
![]() 御廟近く |
奥の院参道は一の橋から御廟まで約2.3Km。参道に沿って並ぶ石塔の数は10万基とも20万基とも言われ、皇族から名もない人々まで、あらゆる階層の人々が競ってここに墓碑を建立しました。信長、秀吉、家康など著名な歴史上の人物の墓碑が並びますが、時間の関係で割愛。中の橋参道から奥の院参道に入ります。
参道には樹齢数百年の杉の木立が天空を遮り、森の霊気が漂います。巨大な杉は種子保存のため特別母樹林として保護され、沿道には標札番号のついた杉が700本以上あるそうです。ガイド氏から墓碑の由来などの説明をいただきますが、油断すると蚊の襲撃にあいます。
秋の蚊の攻め来る大師廟所かな 幸子
![]() 墓所最大の五輪塔(徳川秀忠夫人) |
![]() 天空を覆う杉木立を縫って |
![]() 名もなき人々の手作りの五輪塔 |
墓所最大の五輪塔は一番石といわれ、徳川二代将軍秀忠の妻崇源夫人のものですが、傍らに積まれた名もなき人々の小さな五輪塔にいっそう哀れを感じます。遠い旅を続けて大師様の御そばまでやってきたのでしょう。杉の線香を焚き、御廟に参拝しました。御廟にたなびく杉線香の香りは、奥の院の杉林とともに環境省の「残したい日本のかおり風景100選」に選ばれています。御廟橋から先は脱帽、撮影禁止です。
処暑の風杉線香のかをりけり みのる
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3.自然観察(女人道〜三本杉〜苗畑〜一本杉)
![]() 昭和天皇お立ち台のある三本杉 |
![]() 樹齢550年という杉の最古木 |
![]() 苗畑小屋で昼食はセラピー弁当 |
御廟裏から転軸山の麓の森に入ります。奥の院を含め、「セラピーの森」といわれるところです。時折、林業関係者と思われる軽トラが通りますが、人っ子ひとりいない静寂の世界です。キツツキがドラミングで迎えてくれます。ここには高野山最古の杉があります。推定樹齢550年、樹高70m前後あるそうです。
三本杉には昭和天皇が樵の技をご覧になったお立ち台があります。清流に沿って林道を緩やかに上がると苗畑で、小さな作業小屋が建っています。ここは若木を育てていた場所で、今でも伐採木の集散地になっているようです。
観察に熱心の余りA班から随分遅れてしまいました。お待たせのセラピー弁当です。暖かい大豆のご飯にウドなどヘルシーな山菜がありましたが、空腹のあまりうっかり写真を撮り忘れてしまいました。高野豆腐はあったかな?ゴマ豆腐はなかったような気がします。お弁当屋さん(さんぼう)の主人によると、まだ試作段階だそうで研究を重ねているそうです。
森(しん)呼吸
![]() 木漏れ日の中、フィトンチッドに癒されて A班 |
![]() B班 |
昼食後それぞれがござやシートを持って森林に入ります。すでにA班のメンバーは、ござやハンモックでお休み中です。B班はさらに奥の森林に入ります。ござに仰向けになって森(しん)呼吸。腹式呼吸ですね。あたりは、スギ、ヒノキ、モミ、コウヤマキ、カツラ、ヤマザクラ、シラカバの疎林です。私の頭上を見上げると、トチノキの大きな葉が日に透けて見えています。木漏れ日の中、耳を澄ませば、森を渡る風、虫の声、鳥の声、木の香り、・・・。不思議に蚊など一匹もいません。
B班ガイド氏の朗読が始まりました。河内長野でクロモジを生業としていた古老の著した短編ですが、なかなか味わいのある内容です。フィトンチッドに癒されたのか、軽い寝息も聞こえます。贅沢な30分でした。スローライフというのでしょうね。
峠越え
![]() 苗畑から一本杉への峠越え |
![]() 一本杉からマイクロバス乗車→金剛峯寺へ |
![]() モミジガサの群落 |
![]() コオニユリ |
![]() ノリウツギ |
![]() ヒトヨタケ |
![]() コウヤマキ |
苗畑から小さな峠を越えて、転軸山へ続く女人道の一本杉へと歩きます。まだ整備中のようですが、足腰に優しい杉木立の道です。少し寄り道して、ヌマスギ(ラクウショウ)やノリウツギを観察します。ススキの穂に秋の気配を感じます。ここでガイドいただいた森林インストラクターとお別れです。
道の端に穂薄なびく女人道 二三弥
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―出会ったお友達(私のメモ帳から)―
・草花:ミズヒキ、キンミズヒキ、アキノタムラソウ、ゲンノショウコ、ダイコンソウ、ミツバ、モミジガサ、コオニユリ、ツユクサ、ススキ
・樹木:スギ、ヒノキ、アカマツ、モミ、ツガ、コウヤマキ(以上高野六木)のほか、ヤマザクラ、シラカバ、トウヒ、トチノキ、カツラ、ヌマスギ、イチイ、
クロモジ、シロモジ、ノリウツギ、ヌスビトハギ
・その他:ヒトヨタケ、アマゴ、タカハヤ、キツツキ(アオゲラ?)、ツクツクボウシ
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4.金剛峯寺
![]() 金剛峯寺本堂 |
![]() 金剛峯寺 楠山林課長の案内 |
![]() 法話 弘法大師の自然観と高野山の創設 |
![]() 日本最大の石亭 蟠龍亭へ |
![]() コウヤマキとシャクナゲの中庭(モリアオガエル) |
手配のマイクロバスで、一本杉から金剛峯寺へ到着。金剛峯寺山林部楠課長の直々のご案内で、境内と堂内を巡ります。
高野山という山名はありません。金剛峯寺が高野山全体を指しています。いまここにある金剛峯寺は明治になって豊臣秀吉ゆかりの寺院である青巖寺と興山寺を合併し、金剛峯寺と改称したものです。
写真の桧皮葺屋根にご注目。2つの天水桶は防火用水です。周囲のコウヤマキも延焼を防ぐ役割を果たしているとのことです。
大広間、秀次自刃の柳の間、奥書院などすべてを紹介できませんが、新別殿では僧分による法話「弘法大師の自然観と高野山の創設について」のお話を伺いました。高野山の山上には3000人もの人が生活できる水が湧き出ている。千年の森も、一人ひとりの感謝の心があってこそ今に続いていると。時あたかも北京オリンピックだが、北京の水枯れ問題から、四恩(父母の恩、衆生の恩、国王の恩、仏法僧の恩)に及び、感謝の心がメダルに繋がっていると説かれる。
![]() 土室の煙突 |
![]() 御台所、奥には土室がある |
![]() 悠仁親王様お印となった高野槙の記念樹 |
冬季は氷点下10℃になる極寒の地ですが、土室(土壁で囲った囲炉裏)により暖房が可能となったとのことです。御台所には、しめ縄代わりに干支を描いた切紙の宝来が飾られ、一度に2000人分の米を炊けるという二石釜があります。
堂内の見学を終える。境内には昭和天皇行幸記念樹の高野槙が、正門には悠仁親王様お印となった高野槙の記念樹が置かれていました。
法師蝉自然説きたる法話かな 二三弥
![]() 高野まき |
![]() 高野どうふ |
![]() ごまどうふ |
![]() お世話になった事務局原田さん |
高野山といえば高野まき、お土産は高野どうふとごまどうふが人気です。僅かな時間しか残っていませんが、迎えのマイクロバスで物産館(中本名宝堂)に立ち寄り買い物を楽しみました。
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―終わりに―
世界遺産 高野山千年の森「心と体の浄化 空海の歩いた道」の旅はいかがだったでしょうか。「学ぶ」ことによって気づく、「気づく」ことによってめざめる、「めざめる」ことによって癒され、新しい自分を獲得する。1200年前からの森林セラピー基地高野山。これは今回の旅のキャッチコピーです。タイトなスケジュール中でしたが観光とは違った自分発見の旅であったように思います。楠課長以下、案内いただいた高野「めざめ」の森づくり実行委員会の皆様に感謝申し上げます。(了)
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本ページ作成にあたり、高野「めざめの森」実行委員会作成のガイドブック、石橋さんの研修資料を参考にさせていただきました。
また、俳句は鈴木さん、秋山さん、浅田さんから提供いただきました。
撮影・編集 平山
企画担当:加藤良徳
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