ジュニア自然大学
季節の話題
春 メダカの孵(フ)化
平成19年5月
 2006年晩秋から初冬にかけて裏六甲唐櫃台(からとだい)付近の棚田の水路より70−80尾ほど持ち帰ったメダカの観察記録第2弾です。初回は産卵でしたが、今回は平成19年5月3日から受精卵の発生を調べてみました。今回も、あくまで個人的な感想のレベルですのでご容赦ください。
備考)
 掲載した一連の写真は、同一個体発生の連続写真ではありません。 いくつもの別々の卵の発生段階の写真を並べただけものです。  又、写真撮影はx15のルーペとデジタルカメラのマクロモードを組み合わせて行いました。顕微鏡は使用しておりません。
 発生段階に関しては、岩松鷹司著 「新版 メダカ学全書」を参考にしました。 本文中判ったような記述をしていますが、この本からの参照です。
卵を産みました
 メダカは産卵しても、コイやフナなどのように直接水の中に放卵し、一気に水草などに付着させることはしません。写真のように泌尿生殖口(肛門)付近にしばらく抱えています(夜中の2時ごろ産卵しても、夕方まで抱えていることもあります)。その内、水草などにこすり付けて卵を付着させます。カナダモなどの幅のある水草よりも、カモンバなどの細い軸のような水草によく付着させるようです。ホテイアオイの根っこなども良いらしいです。
 私の水槽では、水草の変わりに麻やナイロンの荷造り紐を束ね擬似水草にして付着させています。麻の方がよく付着しています。又、麻は繊維が解れるので、卵を採取するとき都合がいいです。
 上の写真は、産卵後の様子です。この段階では既に受精が終わっています。
 下の写真は、孵化直後の姿です。左の写真は、水面に背中が反射し2面を同時に見ることが出来ます。残念ながら、ヒレは写っていません。
発生段階
産卵当日の卵の様子
産卵当日の卵1:(第7期以前?)
左:粒々は卵割細胞ではなく油滴です。
右:空中に出すと表面は意外とざらついている。
(左右の写真は同一個体です)
油滴の集まり具合からすると32分割期(第7期)以前かもしれません。
産卵当日の卵2:(第8期−第9期?)
 写真右の右上の卵では卵膜と卵の間に隙間が鮮明に写っていいます。これは囲卵腔といいます。囲卵腔は未受精卵ではありません。受精直後より形成され始めます。卵の中の水滴のようなものはやはり油滴でしょう。油滴は受精直後までは小さく卵全体に散らばっているのですが、囲卵腔の形成がすすむころから融合しながら次第に片方(植物極)に集合しだします。写真は油滴の融合・移動がかなり進んでいて、初期桑実胚期から後期胞胚期(第8期−第9期)までの間の発生段階の胚ではないでしょうか。
産卵当日の卵3:
 「産卵当日の卵2」もそうですが、卵の周りに繊毛のようなものが生えているところがよく映っています。これは付着毛といいます。水草などには後に出てくる付着糸で付着していて、付着毛は役に立っていないように思います。卵どうしをばらばらにしないようにくっつける役割を果たしているのではないでしょうか。良く判りません。
産卵当日の卵4:(第10期−第12期?)
 右下の卵を見ると、卵の右下のほうに白く濁ったところがあります。ほかの卵にも同様の白いところがありますが、これは胚盤ではないかと思います。「産卵当日の卵2」の写真より4時間ほど経過しているが同一固体群。先ほどの写真ではぼやっとしか確認できませんが、白くにごった部分がはっきりと確認できます。時間的に初期胞胚期から前初期嚢胚期(第10期−第12期)の発生段階の胚ではないでしょうか。
産卵数日後の卵の様子
産卵5日目ごろと思える卵:(第24期前後?)
 この写真から見える特徴は、

1.黒い色素胞が広がっている。
2.眼球らしきものがあるが、色素は出ていない。
 
 卵黄球面に黒色素胞が現れるのは9体節期(心臓原基の出現期:第22期)からであり、眼球が黒くなり出すのは22体節期(:第26期)以降だそうです。以上のことから、16体節期(心拍開始期:第24期)前後の発生段階の胚ではないでしょうか。このあたり発生段階は顕微鏡が無ければわかりづらいですね。
産卵約10日後頃の卵の様子
産卵日不明(おそらく10日目頃になっていると思います)
 絡み合ったひも状のものは付着糸といいます。結構はっきり写っています。 眼がほぼ出来上がっていることと、尾が眼球に届いていなさそうであることなどから、 35体節期(体節血流開始期)から脊索液胞化完了期(第30期-第33期)の間だと推定しています。 鮮明さが欠けるのが残念ですが、何分、ルーペとカメラの接写の組み合わせですので・・・(^_^;)。
産卵約14日後頃の卵の様子
産卵日不明(おそらく14日目頃になっていると思います):
 尾端は眼球を遥かに超えて伸びていることから、心臓発達期(第36期)以降であると思います。もう少し進んで、 囲心腔形成期(第37期)を過ぎているかもしれません。水温が十分であれば孵化まであと数日ではないかと思うのですが、この時期の卵になると、x15レベルのルーペではどのようの発生が進んでいるのか良く判りません。
もうすぐ孵化です
産卵14日目頃の卵の翌日:
一つ前の写真と同一個体、丸1日経過しています

 春の水温レベル(18℃程度)だと産卵受精から孵化まで、20日程度かかるらしいです。発生速度は10℃の温度上昇で2〜3倍程度早くなるという法則があるとか。夏の水温27℃では8日程度で孵化します。胚の口腔内壁に、孵化酵素腺細胞というのが孵化直前まであり、そこから出される孵化酵素で卵内膜を溶かし、外膜を体を動かして破って尾部から出てくるそうです。人間の胎児が元気良くお腹をけるように、時折卵殻の中でくるりと回転します。
 追記:この2体は、2日後には孵化しました。
孵化しました
 孵化したメダカの幼魚を見たとき、感動で思わず声を上げました。「孵化してる〜」。感動もそこそこに、その小ささに何を食べさせればとすぐに心配になりました。
 孵化したばかりのメダカはお腹に栄養を抱えているので、3日ほどは餌は無くても生きるようです。しかし、栄養が無くなってから餌を与えると手遅れになるようです。孵化直後から餌を与えたほうが良いのでしょう。
 本当に小さな口ですのでどんな餌を与えようかと迷いました。メダカは雑食です。植物プランクトンも食べるそうです。そこで、緑色に濁ったプランクトンの良く発生している水を混ぜてやりました。更に、親魚に与えているメダカの餌を粉のように細かくすりつぶし与えました。粉の餌は、水面に浮いているのを突っついているのがわかります。食べているのでしょう。プランクトンのほうは食べているのかどうか判りませんが底のよどんだところでうろうろしている個体もいますので、プランクトンも食べているのでしょう。
孵化期(第39期)
左:
孵化直前の卵:卵殻の中でくるりくるりと回転して動きます。この後、1時間後には孵化していました。
中:孵化直後のメダカの赤ちゃん。背中側から写していますが、お腹のふくらみは栄養です。
右:観察の容器の下に写っているピンクの線の幅は2.5mmです。メダカは約5mm程度の大きさになります。
その後の様子
 最初の1体が孵化してから、順調に孵化が続いています。あまりに小さいのでその数ははっきりとはわかりません。ざっとですが既に70体は超えているのではないでしょうか。全てが順調に育つ事は無いでしょうが、既に親の数を超えようとしています。
 最初に孵化した個体は、1週間成長を続けています。お腹の栄養は使い果たしているはずですので、与えた餌を食べてくれているのでしょう。孵化後死んだ個体を発見したのは1体だけです。ひとまずは安心。今は、食べ残しの粉餌で水質が悪化しないように、新たな心配事と付き合っています。
追加しました
メダカの心臓が脈打っているのが観察できました。中央の少し赤みがかったところが心臓です。
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